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Chin Ping Chia

Chin Ping Chia
Head of Research for Asia Pacific

為替ヘッジにかかるキャリー・コストの減少

投資家にとって、外国通貨へのヘッジ・コストが下がってきている。為替ヘッジは為替相場のブレからの損失を防ぐことができる一方、構造的に低金利の国の投資家にとっては高価なものになる可能性がある。しかし、それが主要国における金融政策の影響を受けて変化している。

金融危機が起こる前の10年間、MSCI コクサイ(日本を除く先進国株式で構成される)指数のフルヘッジ指数は、以下の表にある通り、ボラティリティを3.2%ポイント抑えることができたものの、リターンもまた2.6%失っている。これは、ボラティリティを抑えるためにはかなり高いコストである。しかし、金融危機後はリスクが1/3ほど減少している一方でリターンの減少は見られない。これらの違いはどう説明できるのだろうか。
 

日本の投資家にとっての静的為替ヘッジによるパフォーマンスとリスク(円ベース)


Source: MSCI Research. Return and volatility calculations are based on gross total returns of MSCI Hedged Indexes from December 1997 to May 2016.


為替ヘッジ操作にはポートフォリオ上で2つの効果がある。一つはスポット効果で、投資家の自国通貨から外貨為替レートに対するエクスポージャーの消去である。二つ目はキャリー効果で、複利でのトータルリターン算出において自国の金利部分を外貨金利に交換できることである。

下のチャートではMSCI コクサイ指数のヘッジあり指数のヘッジなし指数に対する相対パフォーマンスを示している。金融危機以前に外国通貨へのエクスポージャーをヘッジしていた円ベースの投資家は、キャリー・コストにより、ヘッジしなかった投資家を年間-3.9%アンダーパフォームしていたと推計される。
 

為替ヘッジによるスポット及びキャリーインパクト

Source: MSCI Research

金融危機以降、世界中の金利が収斂することによって、このキャリーインパクトは無視できる程度になった。以下のチャートが示す通り、外貨と日本円の金利差はこの20年で最低水準になっている。
 

円に対する為替キャリー

Source: MSCI Research. Calculated as the three-month deposit rate in a respective currency minus the three-month deposit rate in Japanese yen between December 1996 and May 2016.

利回りが収斂すると、通貨のボラティリティは急激に増加したが、ほとんどの通貨に対する円ベースの投資家のキャリーコストは消えた。本分析を踏まえて日本の投資家が為替ヘッジのあり方を再考することができるが、本分析は、構造的に歴史的低金利の国にある投資家にとっても通用する議論である。

 

Further Reading

Currency Hedging: Adapting to Volatility

Should you hedge your foreign exposure?

The MSCI Adaptive Hedge Indexes

MSCI Hedged Indexes

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