職場における女性活躍推進
Blog post
July 5, 2017
「アベノミクス」と言われる経済振興策の一環として、企業及び政府における女性参画を強化するために、日本政府は2020年までにリーダーシップの地位における女性比率を30%にするというゴールを設定した。これは2014年の11.3%からは野心的な目標と言える。更に、2016年4月に施行された女性活躍推進法は、300人超の社員を抱える企業や国・地方公共団体は、性別多様性と雇用に関するデータを収集・分析し、アクション・プランを策定・公表し、女性の雇用状態に関する情報を開示することを義務付けている
日本では歴史的に女性は充分には活用されてこなかったが、女性参画が進み、職場で活躍することは日本経済を利するという調査がある[1]。経済全体が強くなれば 長期的ポートフォリオのリターンにも利益があるだろう。しかし、投資家はどの企業が性別多様性に真剣に取り組んでいるかを評価すれば良いのだろうか?
MSCIは、性別多様性に関するイニシアチブと実績が同業種銘柄よりも優れている企業をオーバーウェイトするMSCI日本株女性活躍指数(WIN)を開発した。日本における女性活躍の現状を知るために、我々はMSCIジャパンIMI指数における時価総額上位500銘柄について、女性の採用・継続雇用・昇進を含む5つの指標を調査した(以下Exhibit参照)。
日本の職場における女性

昨年12月時点では、500社のうち半分以下の企業が全5指標を開示しているに過ぎず、1/5は取締役会における女性比率という一つの指標だけしか開示していなかった。また、これらのデータは性別多様性に取り組む企業の努力や意図などは反映していないが、それを反映するものとして、我々は、職場における多様性に関するポリシーの有無、多様性に関する監督を経営者が責任を持つかどうか、女性比率を向上するための目標の有無、女性が働きやすくなるような施策(フレックスタイム制、育児休暇制度など)の有無を調査した。
上位500社における性別多様性の現状(2016年12月時点)

多様性ポリシーと経営の監督が強いと評価されるためには、多様性に関する従業員研修やイニシアチブをサポートすることが含まれ、また上級管理職以上が監督することが必須である。 多様性を進める強いプログラムがあると評価されるには、多様性とインクルージョン(受容)を実践するための福利厚生が含まれ、また採用プロセスにおける多様性に関する定量目標の設定が含まれる。 2009年11月から2017年2月までのバックテストにおいては、本指数はMSCIジャパン指数よりも低いリスクで年率50bpアウトパフォームし、正の情報レシオとなった[1]。 これまでのリサーチによれば、多様なグループの方がより良い意思決定を行うことができ、社員の性別多様性が進むほど社員の企業へのエンゲージメントが高く、人材の回転が低いことが分かっており、企業の収益を利する可能性がある。我々のリサーチでも、因果関係は分からないものの、女性リーダーが多い企業ほど財務パフォーマンスが良い傾向にあることが分かっている[2]。
著者は、柴野幸恵、Gaurav Trivedi、Neeraj Kumar、Chin Ping Chiaの貢献に感謝する。
Further reading:
1 Goldman Sachs. “Womenomics 4.0: Time to Walk the Talk (2014)”では、女性の就業率が男性並みになると、GDPを約13%押し上げる可能性があると指摘している。2 過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆したり保証するものではありません。3 Eastman, M.T. and Rallis, D. “The Tipping Point: Women on Boards and Financial performance – Women on Boards Report 2016.” MSCI ESG Research, December 2016
The content of this page is for informational purposes only and is intended for institutional professionals with the analytical resources and tools necessary to interpret any performance information. Nothing herein is intended to recommend any product, tool or service. For all references to laws, rules or regulations, please note that the information is provided “as is” and does not constitute legal advice or any binding interpretation. Any approach to comply with regulatory or policy initiatives should be discussed with your own legal counsel and/or the relevant competent authority, as needed.